title: "RustのCUIフレームワーク" description: "RustでCLIアプリケーションを構築するためのフレームワークとライブラリの概要"

RustのCUIフレームワーク

概要

Rustは、メモリ安全性とパフォーマンスを重視したシステムプログラミング言語として、高品質なCLIツールの開発に適しています。Rustのエコシステムは、CLIアプリケーション開発を支援する成熟したライブラリ群を提供しており、型安全性とエラーハンドリングの優れた機能により、堅牢なコマンドラインツールを構築できます。

主要なライブラリ

Clap

最も人気のあるコマンドライン引数パーサーで、宣言的なAPI、自動的なヘルプメッセージ生成、サブコマンドのサポートなど、豊富な機能を提供します。

Structopt

Clapの上に構築された、derive マクロベースのCLIフレームワークです。構造体の定義から自動的にCLIインターフェースを生成します。

Argh

Googleが開発した軽量なCLIパーサーで、コンパイル時間とバイナリサイズの最小化に重点を置いています。

Crossterm

クロスプラットフォームのターミナル操作ライブラリで、カーソル移動、色付け、キー入力処理などの低レベルな操作を提供します。

Indicatif

プログレスバー、スピナー、その他の進捗表示要素を簡単に実装できるライブラリです。

選択ガイド

Clapを選ぶべき場合

  • 複雑なコマンドライン引数構造が必要
  • サブコマンドを持つCLIツールの開発
  • 詳細なヘルプメッセージとバリデーションが必要
  • 最も広範なコミュニティサポートが欲しい

Structoptを選ぶべき場合

  • より宣言的で簡潔なコードを書きたい
  • 構造体ベースの設計を好む
  • Clapの機能が必要だが、より良いエルゴノミクスを求める

Arghを選ぶべき場合

  • コンパイル時間を最小限に抑えたい
  • バイナリサイズが重要な制約
  • シンプルなCLIインターフェースで十分
  • 組み込みシステムやリソース制約のある環境

Crosstermを選ぶべき場合

  • TUIアプリケーションの開発
  • ターミナルの直接制御が必要
  • インタラクティブなCLIツールの構築
  • クロスプラットフォーム対応が重要

これらのライブラリは組み合わせて使用することも可能で、例えばClapで引数解析を行い、Crosstermでインタラクティブな要素を実装し、Indicatifで進捗表示を行うことができます。

GitHub Star 比較

Rust CUIフレームワーク GitHub Star 比較
No名前GitHub Stars説明トレンドライセンス公式サイト
1clap⭐ 15.3kRustで最も人気のあるコマンドライン引数パーサー。高速で機能豊富、カスタマイズ可能な設計が特徴です。Rustエコシステムのデファクトスタンダードとして圧倒的な支持を獲得。ripgrepやbatなど多くの人気ツールで採用されています。MIT OR Apache-2.0公式
2StructOpt-構造体を定義することでコマンドライン引数をパースするライブラリ。現在はclapに統合されています。clap v3以降にderiveマクロとして統合され、新規プロジェクトではclap deriveの使用が推奨されています。Apache-2.0 OR MIT公式
3pico-args-極めて軽量でシンプルな引数パーサー。最小限の機能と高速な処理が特徴です。シンプルなCLIツールや組み込みシステムでの使用に適しており、軽量性を重視する場合に選択されます。MIT公式
4argh-Google Fuchsiaチームによって開発された、derive属性ベースの引数パーサー。シンプルで使いやすい設計です。Googleプロジェクトでの採用実績があり、シンプルなAPIを好む開発者に支持されています。BSD-3-Clause公式