dplyr

tidyverseの中核パッケージ。データフレーム操作のための文法を提供し、filter、select、mutate、summarize、arrangeなどの動詞でデータを直感的に操作。パイプ演算子と組み合わせて複雑なデータ変換を簡潔に記述可能。

Rデータ操作データ分析tidyverseパイプ演算子データフレームデータラングリング

GitHub概要

tidyverse/dplyr

dplyr: A grammar of data manipulation

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作成日:2012年10月28日
言語:R
ライセンス:Other

トピックス

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tidyverse/dplyr Star History
データ取得日時: 2025/7/16 11:28

フレームワーク

dplyr

概要

dplyrは、R言語でデータ操作を直感的かつ効率的に行うためのパッケージで、tidyverseエコシステムの中核を成すツールです。一貫性のある「動詞」関数により、データの選択、フィルタリング、変換、集約を簡潔に記述できます。

詳細

dplyr(ディープライアー)は、Hadley Wickhamによって開発されたRのデータ操作専用パッケージです。2014年に初版がリリースされ、以降Rでのデータ分析のデファクトスタンダードとなっています。SQLライクな操作をRのデータフレームに対して行うことができ、select()、filter()、mutate()、summarize()、arrange()などの直感的な動詞関数を提供します。特徴的なのはパイプ演算子(%>%)との組み合わせで、複雑なデータ変換を読みやすく記述できることです。C++で実装された内部処理により高速な動作を実現し、大規模データセットの処理にも対応。data.table、arrow、duckdbなどのバックエンドとの統合により、メモリに収まらないビッグデータの処理も可能です。tidyverseパッケージ群との完璧な統合により、データの読み込みから可視化まで一貫したワークフローを構築できます。

メリット・デメリット

メリット

  • 直感的な文法: SQLに似た動詞関数で学習コストが低い
  • 可読性の高いコード: パイプ演算子で処理フローが明確
  • tidyverseとの統合: 他のパッケージとシームレスに連携
  • 高速な処理: C++実装により大規模データも効率的に処理
  • 豊富なドキュメント: 充実したチュートリアルとコミュニティサポート
  • バックエンド拡張: data.table、arrow、duckdbとの統合可能

デメリット

  • メモリ使用量: 大規模データでは要注意
  • 学習曲線: tidyverse全体の理解が必要
  • パフォーマンス: data.tableより遅い場合がある
  • 非標準評価: プログラミング時に注意が必要

主な使用事例

  • データクリーニングと前処理
  • 探索的データ分析(EDA)
  • レポート作成とダッシュボード開発
  • 統計解析の前処理
  • 機械学習のデータ準備
  • ビジネスインテリジェンス
  • 研究データの整形

基本的な使い方

インストール

# CRANからインストール
install.packages("dplyr")

# tidyverse全体をインストール
install.packages("tidyverse")

# 開発版をインストール
devtools::install_github("tidyverse/dplyr")

基本的な操作

library(dplyr)

# サンプルデータ
df <- data.frame(
  name = c("Alice", "Bob", "Charlie", "David"),
  age = c(25, 30, 35, 28),
  salary = c(50000, 60000, 70000, 55000),
  department = c("Sales", "IT", "IT", "Sales")
)

# select: 列の選択
df %>% 
  select(name, salary)

# filter: 行のフィルタリング
df %>% 
  filter(age > 28)

# mutate: 新しい列の追加
df %>% 
  mutate(bonus = salary * 0.1)

# group_by + summarize: グループ化と集約
df %>% 
  group_by(department) %>% 
  summarize(
    avg_salary = mean(salary),
    count = n()
  )

# arrange: 並び替え
df %>% 
  arrange(desc(salary))

# 複数の操作を連鎖
df %>% 
  filter(department == "IT") %>% 
  mutate(total_comp = salary * 1.1) %>% 
  select(name, total_comp) %>% 
  arrange(desc(total_comp))

より高度な操作

# 複雑な条件でのフィルタリング
df %>% 
  filter(age >= 28 & salary > 55000)

# 複数のグループ化
df %>% 
  group_by(department, age_group = cut(age, breaks = c(0, 30, 40))) %>% 
  summarize(
    count = n(),
    avg_salary = mean(salary),
    .groups = 'drop'
  )

# across()を使った複数列への操作
df %>% 
  mutate(across(where(is.numeric), ~ . * 1.05))

# join操作
departments <- data.frame(
  department = c("Sales", "IT"),
  location = c("Tokyo", "Osaka")
)

df %>% 
  left_join(departments, by = "department")

最新のトレンド(2025年)

  • duckdbバックエンド統合: より高速な大規模データ処理
  • arrow統合の成熟: Parquetファイルの効率的な処理
  • tidypolarsとの連携: Polarsの高速性をdplyr文法で利用
  • 型安全性の向上: より厳密な型チェック機能
  • 並列処理の強化: マルチコア処理の最適化

まとめ

dplyrは2025年においても、Rでのデータ操作の第一選択肢として不動の地位を保っています。直感的な文法、強力な機能、そして活発なコミュニティにより、初心者から上級者まで幅広いユーザーに支持されています。ビッグデータ時代に対応した新しいバックエンドとの統合により、その適用範囲はさらに拡大しています。