言語バージョン管理ツール

fnm（Fast Node Manager）

概要

fnmは、Rustで実装された高速なNode.jsバージョン管理ツールです。nvmと互換性を保ちながら、より高速な動作とクロスプラットフォーム対応を実現しています。シンプルなバイナリファイルとして提供され、インストールと使用が簡単です。

詳細

主な特徴

• 超高速: Rust実装により起動とバージョン切り替えが高速
• クロスプラットフォーム: Windows、macOS、Linuxで動作
• .nvmrc/.node-version対応: nvmとの互換性
• シンプルなバイナリ: 単一の実行ファイルで動作
• 自動インストール: useコマンドで未インストールバージョンを自動取得
• 並列ダウンロード: 高速なバージョンインストール

アーキテクチャ

fnmはRustで書かれており、システムコールを直接使用してパフォーマンスを最適化しています。各Node.jsバージョンは独立したディレクトリに保存され、シンボリックリンクで管理されます。

サポートシェル

• Bash: 完全サポート
• Zsh: 完全サポート
• Fish: 完全サポート
• PowerShell: Windows環境で完全サポート
• Windows Command Prompt: 基本的なサポート

メリット・デメリット

メリット

• 圧倒的な速度: nvmと比較して10倍以上高速な起動
• Windows対応: ネイティブWindows環境で動作
• メモリ効率: 最小限のメモリ使用量
• 簡単なインストール: パッケージマネージャーで簡単導入
• nvm互換: 既存の.nvmrcファイルがそのまま使える
• モダンな実装: Rustによる安全で効率的なコード

デメリット

• 機能限定: nvmの一部の高度な機能は未実装
• 歴史が浅い: nvmと比較して実績が少ない
• カスタマイズ性: nvmほど柔軟な設定オプションがない
• コミュニティ: nvmと比較してユーザーベースが小さい
• プラグインなし: 拡張機能のシステムがない

参考ページ

• fnm公式リポジトリ
• fnm公式ドキュメント
• Rust公式サイト

書き方の例

インストール

# macOS/Linux（Homebrewを使用）
brew install fnm

# macOS/Linux（インストールスクリプト）
curl -fsSL https://fnm.vercel.app/install | bash

# Windows（Scoop）
scoop install fnm

# Windows（Chocolatey）
choco install fnm

# Cargo（Rust）を使用
cargo install fnm

# Arch Linux
pacman -S fnm

シェル設定

# Bash（.bashrcに追加）
eval "$(fnm env --use-on-cd)"

# Zsh（.zshrcに追加）
eval "$(fnm env --use-on-cd)"

# Fish（~/.config/fish/config.fishに追加）
fnm env --use-on-cd | source

# PowerShell（プロファイルに追加）
fnm env --use-on-cd | Out-String | Invoke-Expression

# 設定を反映
source ~/.bashrc  # または該当するシェル設定ファイル

基本的な使い方

# 利用可能なNode.jsバージョンの一覧表示
fnm list-remote

# LTSバージョンのみ表示
fnm list-remote --lts

# 最新バージョンのインストール
fnm install --latest

# LTSバージョンのインストール
fnm install --lts

# 特定バージョンのインストール
fnm install 20.11.0
fnm install 18.19.0

# インストール済みバージョンの確認
fnm list

# 現在のバージョン確認
fnm current
node --version

バージョン切り替え

# 特定バージョンに切り替え
fnm use 20.11.0

# システムNode.jsに切り替え
fnm use system

# デフォルトバージョンの設定
fnm default 20.11.0

# インストールと使用を同時に実行
fnm use 18.19.0 --install-if-missing

プロジェクトごとの管理

# プロジェクトディレクトリに移動
cd /path/to/my-project

# .nvmrcファイルを作成（nvmと互換）
echo "20.11.0" > .nvmrc

# または.node-versionファイルを作成
echo "20.11.0" > .node-version

# 自動的にバージョンが切り替わる（--use-on-cd設定時）
cd /path/to/my-project
# Using Node.js v20.11.0

# 手動で.nvmrcのバージョンを使用
fnm use

高度な使い方

# 複数のNode.jsを同時にインストール
fnm install 18 19 20

# エイリアスの作成
fnm alias 20.11.0 lts-iron
fnm alias 18.19.0 production

# エイリアスを使用
fnm use lts-iron

# エイリアスの削除
fnm unalias lts-iron

# Node.jsバージョンのアンインストール
fnm uninstall 16.20.2

# すべてのバージョンを表示（エイリアス含む）
fnm list --all

環境変数とオプション

# ログレベルの設定
export FNM_LOGLEVEL=debug

# Node.jsのダウンロードミラーを設定
export FNM_NODE_DIST_MIRROR=https://nodejs.org/dist

# インストールディレクトリの変更
export FNM_DIR="$HOME/.fnm-custom"

# Corepackの自動有効化
export FNM_COREPACK_ENABLED=true

# バージョン切り替え時の出力を抑制
export FNM_VERSION_FILE_STRATEGY=local

パフォーマンス比較

# fnmの起動時間測定
time fnm --version

# nvmとの比較（nvmがインストールされている場合）
time nvm --version

# バージョン切り替えの速度比較
time fnm use 20.11.0
time nvm use 20.11.0

トラブルシューティング

# 設定の確認
fnm env

# 現在の設定パスを表示
fnm list --show-path

# キャッシュのクリア
rm -rf $(fnm env | grep FNM_DIR | cut -d'"' -f2)/node-versions

# 再インストール
fnm install --force 20.11.0